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鶏肉は加熱するとたんぱく質が減る?

鶏肉を加熱するとたんぱく質は減る?
鶏肉は加熱しても、たんぱく質が減ることはほとんどありません。ローストでも煮ても、鶏肉のたんぱく質が作られたり消えたりすることはありません。
1切れに含まれるたんぱく質のグラム数は、調理法が違ってもほぼ同じです。 抜けるのは水分だけで、その量は調理法によって変わります。同じ肉でも軽くなり、100gあたりのたんぱく質は多く見えます。
食品データベースでは、同じ鶏肉でも調理法ごとに違う数値が載っています。USDA FoodData Centralでは、生のむね肉は100gあたりたんぱく質が約22.5g、ローストは約31g、煮た場合はまた別の値です。どれも何かが加わったわけではありません。
鶏肉が水分の重さを失っただけで、その割合が調理法で違います。カロリーの記録では、はかりの重さと実際の調理法の両方に合う項目を選ぶ必要があります。
たんぱく質は食品の名前と同じように、変わらない性質だと考えたくなります。生でも煮ても焼いても、鶏肉100gならたんぱく質は同じはずだ、という感覚です。
その考えは、1切れに含まれるたんぱく質の総量については正しく、100gあたりの数字については誤りです。鶏肉を加熱すると、重さとたんぱく質は同じ速さでは減りません。調理法ごとに水分の抜ける速さも違います。
水分は蒸発したり流れ出たりしますが、たんぱく質はほぼ残ります。調理後の100gは、生の100gより元の肉の小さな一部分にあたります。そのため同じ100gでも、加熱後のほうがたんぱく質は多くなります。
加熱後に量った肉を生用の項目で記録したり、調理法が違う項目を選んだりすると、カロリーもたんぱく質もずれます。項目が間違っているわけではなく、別の重さや調理法についての数値なのです。ずれの大きさは、後半の計算例で示します。
ローストと煮る調理では、どちらがたんぱく質を保てる?
どちらもほぼ全量を保てます。Kim、Do、Chungによる2017年の研究(Korean Journal for Food Science of Animal Resources掲載)は、鶏の部位と調理法ごとに必須アミノ酸の量と残存率を測りました。たんぱく質とアミノ酸は調理法を問わずほぼ保たれ、調理法による差は小さいという結果でした。
大きく違うのは、たんぱく質の残存率ではなく水分量です。調理法によって表面から水分が抜ける速さが違います。そのため、同じ重さの生肉から作っても、ローストのほうが煮たものより100gあたりのたんぱく質が高く表示されます。総量はほとんど動いていません。
調理法が変えるのは、摂れるたんぱく質の量よりも、100gあたりの見え方です。 計算例では生とローストの数値を使い、表には比較用に煮た場合も載せています。
栄養成分の項目が生か調理後か、どう見分ける?
食品名を確かめれば分かります。重さを量る前に、その項目が何を表しているかを見てください。USDA FoodData Centralでは、食品名にそれが書かれています。
「Chicken, broilers or fryers, breast, meat only, raw」と「Chicken, broilers or fryers, breast, meat only, cooked, roasted」は別の項目です。煮た場合の項目もまた別です。同じ部位でも水分量と調理法が違うので、栄養素の値はすべて異なります。
日本の日本食品標準成分表(八訂)(文部科学省)でも、同じ食品が生、ゆで、焼きなど調理の状態ごとに別の行に載っています。国が違っても、見るべきところは同じです。
選ぶ前に、raw(生)かcooked(調理後)か、roasted(ロースト)やstewed(煮た)といった調理法の語を探してください。調理の状態が書かれていない汎用の項目は、生だと決めつけず、未確認として扱います。
項目名を最後まで読む。この一手間で、その後の計算が間違った出発点から始まるのを防げます。
鶏肉は調理前と調理後、どちらで量る?
記録しようとする項目に合う段階で量ります。先にこの点を決めておきます。
皿に載っている分を記録するなら、火から下ろした調理後の肉をはかりに載せます。その重さを、使った調理法の項目と組み合わせます。完成した食事を写真に撮る場合は、こちらが一般的です。
レシピを事前に計画するなら、火にかける前に生の肉を量るほうが楽なことが多いです。そこで分量を決め、生の項目で記録します。換算が必要になるのは、特定の食事でそれが要るときだけです。
うまくいかないのは、片方の段階で量って、もう片方用の項目で記録することです。調理後に量りながら、検索で最初に出た項目をそのまま使う場合があります。逆に、調理前に量ったのに、肉が皿に届くまでに水分を失うことを忘れる場合もあります。
項目が片方しかないとき、生と調理後の重さはどう換算する?
換算式で求められます。生の項目しかないのに目の前の鶏肉は調理後、またはその逆、ということがあります。そのときは勘に頼らず、USDA FoodData Centralのようなデータベースにある2つの項目から換算します。
鶏肉を加熱してもたんぱく質のグラム数は変わらないので、生の重さ×生の濃度=調理後の重さ×調理後の濃度が成り立ちます。式を変形すると、調理後の重さ÷生の重さ=生の濃度÷調理後の濃度です。22.5÷31で約0.726になります。この比がローストの歩留まりです。
生の重さが分かっていれば、この歩留まりを掛けて調理後の重さを事前に見積もれます。調理後の重さが分かっていれば、歩留まりで割って生の重さを求めます。同じ部位と同じ調理法の中でのみ成り立ちます。液体の中で煮る場合は、乾いた状態で焼くローストとは挙動が違います。
調理後の料理の重さを量ったら、レシピのカロリー計算ツールが、レシピ全体のカロリーを1人分や100gあたりに直してくれます。上の換算のあとに便利です。鶏むね肉の調理法別の数値は、鶏むね肉の生と加熱後の重さでも確認できます。むね肉以外の部位は、鶏もも肉の生と加熱後の重さで皮の有無ごとの歩留まりを見られます。
USDAの実際の数値を使った計算例は?
USDA FoodData Centralの鶏むね肉の数値で、計算の過程を示します。下の生200gという重さは、割り切れる数にするために選んだ例示用の数字です。生、ロースト、煮た鶏むね肉のたんぱく質、エネルギー、脂質は、USDA FoodData Centralが公表している100gあたりの値です。
| 項目 | 生(100gあたり) | ロースト(100gあたり) | 煮た(100gあたり) |
|---|---|---|---|
| エネルギー | 120 kcal | 165 kcal | 151 kcal |
| たんぱく質 | 22.5 g | 31 g | 28.9 g |
| 脂質 | 2.6 g | 3.6 g | 3.0 g |
生のむね肉200gから始めます。生の各数値を2倍にすると、240 kcal、たんぱく質45g、脂質5.2gです。たんぱく質は加熱で意味のある量は失われないので、調理後もたんぱく質は45gのまま、より小さな重さに詰まっています。
その重さは、たんぱく質を調理後の濃度で割って求めます。45g÷31g(100gあたり)で調理後145gです。正確には145.16gを切り捨てた値です。
同じ145gで、ほかの数値も確かめます。145×1.65 kcal/gは約239 kcalで、生の合計240 kcalとほぼ一致します。145×0.036は約5.2gの脂質で、生の合計とよく合います。水分は抜けても、エネルギーと脂質はほとんど残っているので、この一致は当然です。ローストは元の成分を取り除くのではなく、濃くします。
次に、ずれを見ます。この調理後145gを、ローストではなく生の項目で記録するとします。145×1.20 kcal/gで約174 kcal、145×0.225でたんぱく質32.6gです。本来の239 kcalとたんぱく質45gより、約65 kcalとたんぱく質約12g少なくなります。脂が溶け出したせいではありません。調理後で濃くなった肉に、生の低い濃度を当てはめたためです。はかりも鶏肉も同じで、項目だけが違います。
この計算を静かに狂わせるものは?
見落としやすい点は4つあります。
- 項目が「meat only」か、皮や骨を含むかを確かめます。 皮は脂質とカロリーを増やし、骨付きの重さは食べられる重さではありません。皮なし用の項目は、同じ総重量の骨付き・皮付きの肉を少なく見積もります。
- 生か調理後かだけでなく、調理法も合わせます。 上の表のとおり、同じ部位でもローストと煮たむね肉では数値が違います。
- 別に数えるソース、衣、マリネは、それらを付けた後に量ります。 衣を付ける前の乾いた状態の重さは、実際に食べる衣付きの肉については何も教えてくれません。
- ローストの歩留まりは、むね肉についての値です。 すべての部位に当てはまるわけではありません。たとえばもも肉は脂質と水分量が違うので、ほかの部位に使う前に部位別のUSDAの項目で確かめてください。
アプリはどこで役に立つ?
Avocaloの写真記録は、写真に写っている調理後の状態から、カロリーと栄養素を直接推定します。手動の検索では、生か調理後かの項目を自分で選べます。データベースはOpen Food Facts、USDA FoodData Central、各国の食品成分表をもとにしているので、ここで使った生、ロースト、煮た項目も検索できます。
できないのは、食品の重さを量ることと、写真から調理法を確実に特定することです。写真からの分量は常に推定で、追加した情報で精度を上げていきます。実際に試すには、Avocaloをダウンロードして、調理後の食事の写真から推定するのが近道です。
よくある質問
加熱すると鶏肉のたんぱく質は壊れる?
いいえ、壊れて消えるわけではありません。加熱でたんぱく質の立体構造はほどけますが、量は減りません。2017年の残存率の研究では、必須アミノ酸は調理法を問わずほぼ保たれていました。USDAの生とローストの項目でも、1切れのたんぱく質の総量はほぼ同じです。
ローストと煮る調理では、どちらがたんぱく質を保てる?
どちらもほぼ全量を保ちます。Kimら(2017)は、鶏の部位と調理法を比べて、アミノ酸の残存率に小さな差しか見つけませんでした。大きく変わるのは水分量です。そのため、グラム数はほとんど変わらないのに、100gあたりのたんぱく質は調理法で違って見えます。
調理後の鶏肉は、生より100gあたりのたんぱく質が多いのはなぜ?
加熱で抜けるのは、たんぱく質ではなく水分だからです。USDAでは、生が100gあたり約22.5g、ローストが100gあたり約31gです。量っている100gが、同じ1切れのより小さく濃い一部分になっているだけです。
鶏むね肉はローストするとどれくらい軽くなる?
USDAの生とローストのたんぱく質の濃度の比、22.5÷31から、ローストした鶏むね肉は生の重さの約73%が残ります。これはたんぱく質を含む重さに基づく値です。脂は、たんぱく質が濃くなるのとは違う速さで溶け出すため、実際の調理後の重さは多少異なることがあります。
出典
- USDA FoodData Central, Chicken, broilers or fryers, breast, meat only, raw: 上で使った生のたんぱく質、エネルギー、脂質の値の項目です。日本の値は日本食品標準成分表(八訂)(文部科学省)で、生と調理後の項目を別々に確認できます。
- USDA FoodData Central, Chicken, broilers or fryers, breast, meat only, cooked, roasted: 上で使ったローストの値と、そこから導いた歩留まりの比の項目です。
- USDA FoodData Central, Chicken, broilers or fryers, breast, meat only, cooked, stewed: 比較表で使った、煮た場合の値の項目です。
- Kim, H., Do, H. W., & Chung, H. (2017). A Comparison of the Essential Amino Acid Content and the Retention Rate by Chicken Part according to Different Cooking Methods. Korean Journal for Food Science of Animal Resources, 37(5). DOI: 10.5851/kosfa.2017.37.5.626: 調理法ごとのアミノ酸残存率についての査読付きの出典です。
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