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カロリー制限中の食べたい欲求は、なぜ弱まる?

夜9時にチョコレートが食べたくなるのは、空腹とは別の信号です。カロリー制限が厳しすぎるサインでもありません。食べたい欲求は特定の食べ物を求める気持ちで、空腹はどんな食べ物でも収まる全身の信号です。 カロリー制限を続けた試験では、カロリー制限中の食べたい欲求は、減らした食べ物ほど数週間のうちに弱まっていました。夕食後に甘いものへ気持ちが向くのには理由がありますが、制限が失敗しているわけではありません。
食べたい欲求と空腹は、どう違うのですか?
食べたい欲求と空腹は別の信号です。空腹は全般的で、ほぼどんな食べ物でも収まります。食事から時間が経つにつれて、ゆっくり強まります。
食べたい欲求は特定のものに向かいます。1つの食べ物や食べ物の種類を狙い、空腹が弱いときにも現れます。
Hillが2007年にProceedings of the Nutrition Societyで発表した総説は、「craving is not synonymous with increased eating」と述べています。欲しいと思った食べ物が必ず食べられるわけではなく、食べた物が必ず欲しかった物とも限りません。食べたい欲求は「空腹が弱まり、気分の落ち込みが強まる」状況で起こるとされ、動いているのは食欲ではなく気分です。
つまり、普通の夕食の後に感じる夜9時のチョコレートへの思いは、胃の空腹ではなく食べたい欲求の型に合います。この区別は対応が違うため大切です。空腹は食べて満たすものです。食べたい欲求は、きっかけで起こる願いなので、緊急事態にせず気づくだけにできます。
なぜ食べたい欲求は夕食後に出やすいのですか?
体内時計が、その日の食事とは関係なく、夕方に向けて食欲を高めるためです。
Scheer、Morris、Sheaの研究(Obesity、2013年)は、健康な成人12人を13日間入院させて行われました。食事と睡眠を概日リズムの全体に均等に散らし、体内時計そのものの信号を取り出しています。空腹感は体内時間の午前8時ごろが最も低く、午後8時ごろが最も高くなりました。摂取量とは関係がありませんでした。
そのため、夕方の食べたい欲求は、日中の食事の選び方に不足があった証拠ではありません。制限の組み方が良くても悪くても存在する、1日のリズムと重なっています。Hillの総説は、食べたい欲求が全体としては「happen at all times of day」とも述べています。夕方は集まりやすい時間帯ですが、唯一ではありません。
カロリー制限中の食べたい欲求は、制限が厳しすぎる印ですか?
それだけでは言えません。時間をかけて見ると、証拠は逆を向いています。
Kahathuduwa、Binks、Martin、Dawsonの論文(Obesity Reviews、2017年)は、12週間以上のカロリー制限を行った8件の試験をまとめました。制限を続ける間に、全体の食べたい欲求は下がり、統合した効果量は−0.246(95%信頼区間 −0.490〜−0.001)でした。
区間の上限がほぼ0なので、この低下は試験で確かめられる限界に近い値です。それでも、分析したすべての区分で向きは一貫して下がっています。同じメタ分析で、甘いものへの食べたい欲求は区分の中で最も下がり、−0.410(95%信頼区間 −0.626〜−0.194)でした。高脂肪、でんぷん質、ファストフードの欲求より大きな低下です。
ここには、触れておくべき食い違いがあります。Hillの総説は、食事制限をしている人のほうが、していない人より多くの欲求を記録した日記研究も挙げています。最近食べないようにした食べ物ほど、欲求は強く、収まるのも遅くなっていました。
これは制限している人としていない人を、ある時点で比べた断面です。Kahathuduwaの傾向は違います。同じ人の欲求が、制限を数か月続ける間にどう動くかを追っています。
両方とも成り立ちます。自由に食べるときより欲求が出やすく感じても、制限が続くほど欲求は下がっていく、ということです。
食事制限を続けると、食べたい欲求は数週間でどうなりますか?
2017年のメタ分析では、食べ物の区分ごとに低下が示され、すべての区分が同じ向きに動きました。区分ごとの信頼区間は次のとおりです。
| 欲求の区分 | 統合した効果量(95%信頼区間) | 向き |
|---|---|---|
| 全体の欲求 | −0.246(−0.490〜−0.001) | 下がった |
| 甘いもの | −0.410(−0.626〜−0.194) | 最も下がった |
| ファストフード | −0.340(−0.633〜−0.048) | 下がった |
| でんぷん質の食べ物 | −0.288(−0.517〜−0.058) | 下がった |
| 高脂肪の食べ物 | −0.190(−0.343〜−0.037) | 下がった |
制限の期間が長いほど、低下は大きくなりました。著者はこれを脱条件づけと整合すると述べています。店でチョコレートを見る、パーティーでにおいをかぐといったきっかけが残ったまま、その食べ物を控えると、きっかけと欲求の結びつきが時間とともに切れていくという考えです。意志の力が限界に達するまで圧力がたまる、という話とは別の説明です。
そう考えると、夕方のチョコレートへの欲求の見え方が変わります。制限への警告ではありません。食べずに過ごした週が、弱まるのに十分な数にまだ達していない、きっかけに近いものです。
チョコレートだけ、なぜ収まりにくいのですか?
Hillの総説によると、チョコレートへの欲求は、収まるまでの長さが他の食べ物とは違います。
Hillは「cravings for chocolate were found to be stronger and to disappear much more slowly than those for other sweet or savoury foods」と述べています。ただし、実際に食べることにつながる割合は、他の食べ物の欲求と「equally likely」でした。この比較の効果量は出典に示されておらず、総説が報告する定性的な傾向だけです。
この点は、「甘いもの」全体への欲求の試験データから想像するより、夕方のチョコレートへの欲求のほうが粘り強く感じられる理由かもしれません。それでも、制限とともに欲求が弱まるという全体像の中に収まります。この総説の証拠では、この食べ物だけ、弱まり方が遅いということです。
食べたい欲求を失敗扱いせず、どう扱えばよいですか?
通り過ぎる欲求は、危機として管理する必要がありません。気づいてそのままにするか、記録して後で見返せば十分です。
欲しかった食べ物、あるいは食べなかったことが、食事の時間の流れのどこにあるかを見ると、同じきっかけと時間帯が繰り返されるかどうかがわかります。ある1日の夜を、1週間全体の判定にする必要はありません。
市販の甘いものではなく、欲求から手作りする場合は、Avocaloの無料のレシピのカロリー計算ツールで合計を出せます。材料を足し上げるか合計を入力すると、1人分のカロリーが出ます。欲求そのものを裁くのではなく、実際に食べたものに目を向けられます。
食欲の別の仕組みを知りたい方には、関連ガイドがあります。炭水化物だけの食事で、なぜすぐお腹がすくのかです。食事の組み合わせで空腹が戻る早さがどう変わるかを解説しており、ここで述べたきっかけによる欲求とは別の話です。
食べたものは、どう記録すればよいですか?
欲しかった食べ物を食べたなら、他の食事と同じように記録すれば足ります。
Avocaloの写真記録では、食事を撮るか、ギャラリーの写真を選びます。AIの画像認識モデルが、食べ物、量、カロリー、マクロ栄養素を推定します。保存する前に、ご自身で内容を確認して直せます。記録された1品は、欲求から食べたものでもそうでなくても、写真からの概算であり、検査室での測定値ではありません。その日への減点ではなく、時間の流れの中の1件になります。
アプリは、他の食事と同じく、食べたものをそのまま記録します。後で記録を見返せば、同じ型が繰り返されるかを確かめられます。試してみたい方は、App StoreまたはGoogle Playでアプリを入手できます。
よくある質問
特定の食べ物が欲しいのは、栄養が足りないからですか?
この記事の根拠には、欲求を栄養不足で説明できるとする出典はありません。Hillの2007年の総説は、欲求をきっかけと気分に結びついたものと定義しており、ビタミンやミネラルの不足の信号とはしていません。現時点の研究からは、栄養の問題ではなく心理的なものとして扱うのが妥当です。
制限を数週間続けても欲求が出るのは普通ですか?
普通です。試験全体の傾向は上向きではなく下向きです。Kahathuduwaらの2017年の論文では、12週間以上の制限で欲求が下がり、期間が長いほど低下が大きくなりました。数週間後に時々欲求が出ても、この全体的な低下とは矛盾しません。
欲しい食べ物をたまに食べると、欲求は悪化しますか?
検討した研究では、直接は調べられていません。Hillの総説は、欲しい食べ物が必ず食べられるわけではなく、食べた物が必ず欲しい物でもないと述べており、両者の結びつきは強くありません。この記事の出典には、欲しい食べ物を1回食べた後の変化を測った試験はありません。
夜のほうが食べたい欲求が強く感じるのはなぜですか?
体内時計が、夕方に向けて食欲を自然に高めるためです。Scheer、Morris、Sheaの2013年の研究は、管理された13日間の条件で、その日の摂取量と関係なく、体内時間の午後8時ごろに空腹感が最も高くなることを測定しました。
出典
- Kahathuduwa, Binks, Martin & Dawson, "Extended Calorie Restriction Suppresses Overall and Specific Food Cravings," Obesity Reviews, 2017: 欲求の低下の数値と、区分ごとの表のもとになったメタ分析です。
- Hill, "The Psychology of Food Craving," Proceedings of the Nutrition Society, 2007: 食べたい欲求と空腹の定義、チョコレートの知見、食事制限者の日記の比較です。
- Scheer, Morris & Shea, "The Internal Circadian Clock Increases Hunger and Appetite in the Evening," Obesity, 2013: 摂取量と関係なく夕方に食欲が高まる研究です。
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